塩気立つ 荒磯にはあれど 行く水の 過ぎにし妹が 形見とそ来し
巻9−1797 柿本人麻呂歌集
しほけたつ あらそにはあれど いくみずの すぎにしいもが かたみとそこし
潮のけはいの満ちた荒阿多しい磯ではあるが、流れゆく水のように逝った女の形見だと思ってきたことだ。
紀伊万葉に詠まれたうたには大和の都から紀伊国へ旅した万葉人の万感の思いが溢れています。近畿大学名誉教授の村瀬憲夫先生の解説を掲載しております。
また村瀬先生による、よりわかりやすく親しみやすい解説や朝日さんが描いた万葉を感じるイラストも随時更新予定です。
南海道の終着点に広がる水平線
「感動の加太の海へ」
行幸の終着点、田辺から白浜へ。
「紀の温泉に心癒されて」
荒磯の大自然に心奪われて
「遥か、み熊野の地へ」
しほけたつ あらそにはあれど いくみずの すぎにしいもが かたみとそこし
潮のけはいの満ちた荒阿多しい磯ではあるが、流れゆく水のように逝った女の形見だと思ってきたことだ。